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「国際金融投資リーダーサミット」が香港にもたらすものは一体何か?
更新日:2022年11月22日
今年の秋口に入り、香港金融管理局(HKMA)は11月の最初の週となる2日と3日の2日間に渡って世界の金融機関からプロフェッショナルを集めての国際会議、「グローバル・フィナンシャル・リーダーズ・インベストメント・サミット(国際金融投資リーダーサミット)」を開催する事を発表しました。そしてつい先頃、その会は"成功裡に幕を閉じた"との報道がネット及び各マスコミの経済欄を飾ることになった訳ですが、今回の開催と言うのは徐々に落ち込みつつあった香港の基幹産業とも言える「金融」のテコ入れ策の一つであったことは周知に認めるところではあります。この2日間の会議で議論されることになったテーマと言うのは金利上昇によるスタグフレーションリスクから派生する不確実性であったり、科学技術の発展などによる金融業界が被るであろう課題の抽出と対処云々...と言った広範・多岐に渡り、その中における香港の役割についても積極的な議論が繰り広げられたとのことです。
香港の行政長官である李家超(ジョン・リー)氏は香港の"重要な役割"として中国との"シームレス"な立地を指摘、世界の中でも香港のような条件を纏うテリトリーと言うのは経済そのものを急成長させる数多くの要因が内在しており、世界的な発展を成し遂げる際の"重要な原動力となる"と言うマクロ面での優位点を言及、併せて人材面、社会・経済面でのインフラ整備、更にそれらに関連する豊富な技術や経験の蓄積等々...積極的に利点をアピールする事となりました。
実際のところ、数字面での香港の動きを見て行くと、金融サービス業全体での「経済貢献額」と言うものは、域内の総生産に対して実に23.4%に相当する約760億ドルを占有しています。
2021年には新型コロナウィルスの本格的な拡散と言った外的な足枷にも関わらず、香港証券取引所での売買額が5兆2千億ドルに到達する等、アジアにおいてはナンバーワン、まさに他を圧倒的するな成績を記録しています。
更に"内地"という視点で考えると中国の経済的な成長をより盤石にするのは香港の存在は不可欠であり、一帯一路を成功に導く為の重要ピースとして中心的な役割を担って行くとの見解を、中国金融最大手である中国人民銀行の易網(えき・こう)総裁などが賛辞を送りました。
そうなると、今後気になって来るのは香港当局が果たしてどのような形で香港の役割を、"より輪郭がハッキリした形で推進して行くのか?"というものになる訳ですが、これは香港当局の陳茂波(ポール・チャン)氏によると(香港の得意とする)資金調達・管理面を筆頭として人民元の国際化の為のアシスト、更により具体的な分野としてはグリーン・ファイナンスやフィンテックに注力することで、これまで以上のポジションへとステップアップして行くとの見方を示しています。
この見解に"追い風となる"要素を含ませるのは、こうした政府当局の見方について今回参加していた大手金融業者の重鎮等も同様のビジョンを描いていることであったり、(風評上のネガティブ報道と現場でのポジティブな状況との)ギャップも感じ取った外国人金融業者も数多く存在していたとの報道もあり、そうした面での"誤差"調整も香港の発展に力を貸す形になるかも知れません。
後はこうした勢いを如何に実現して行くのか?と言うことに焦点が当てられるだけになる香港。
兼ね備えているソフト&ハードの可能性を考えると、中国の方針変更がない限り、その実現確率は予想以上に高くなると言っても過言ではないでしょう。