2023年も早1ヶ月が経過しようとしています。世の中ではようやく新型コロナウィルス感染症が与えたダメージを振り切りつつあり、「ゼロコロナ」政策を強力に推進して来ていた香港・中国連合もここに来てその禁を解き放つことを決定しました。そこで今後は自由に世界との交流が(コロナ禍以前の状況と同じように)開始できるようになる訳ですが、今回取り上げる別の視点、即ちDX=デジタルトランスフォーメーション分野については(こうしたコロナ禍の中であっても)各国の中で粛々と推進されて来たプロジェクトのひとつであったと言えます。
事実、しっかりと準備をして来た国々はそれなりの結果を残して来ていると言っても過言ではなく、香港もこの分野では手を抜かずにしっかりと取り組んで来たグループのひとつと言っても間違いではありません。
さて、前振りはここまでとして具体的にその内容を見て行くことにしましょう。
スイスにある国際経営開発研究所(IMD)の評価によりますと、2022年度における世界の国々(調査対象国は63カ国)を「世界デジタル競争力ランキング」と言う座標軸で順位を決めた場合、香港は非常に競争力の高いと言えるトップ10以内(実際は9位)に入り、図らずともその実力を証明する形となりました。対する日本は何と29位と言う全くの体たらく...、まさにうだつの上がらないような位置に沈んだと形容される立場となっています。
因みにこの年のトップ5はデンマークが1位になり、次いで米国(2位)、スウェーデン(3位)、シンガポール(4位)、そしてスイス(5位)と言う順位で構成される結果とであり、この評価軸を生み出す各々のファクターは(1)知識、(2)技術、(3)未来への対応、と言う3点からのものとの事です。
残念ながら我が国日本はその前年の順位であった28位すらも維持することが出来ない有様となり、文字通り、なす術もなく(過去最低の順位である)29位と言う結果に沈む形となってしまったと言う訳です。
では何故日本はこのような順位に甘んじることになったのでしょうか?内容を見て行くと決して悪いものばかりで構成されていた訳ではありません。事実として申し上げると、"知識"分野で「高等教育の生徒当たり教師数」、"技術"分野では「ワイヤレスブロードバンドの利用者」、そして"未来への対応"分野では「ソフトウェア著作保護」が高評価となっていました。
しかしながら一方では「国際経験」("知識"分野)、「ビッグデータ活用・分析」&「ビジネス上の俊敏性」(いずれも"未来への対応"分野)において前述の高評価を根底から破壊してしまうような結果(63カ国中63位)になってしまい、結果としてこの負の要素が致命的なものであったと言うことなのです。
何れにしてもこうしたことをひとつの原因に断定することは出来ないのは明らかではありますが、それでも敢えて言わせて頂くのであれば、それは、日本のビジネス文化の中に存在する「膿み」と言うものを、日本社会が依然として真剣に捉えていないことに起因しているのは明らかです。それは即ち、昔のやり方に固執し続け、合理的な発想を軽視すると言う風潮が社会全体を雁字搦めに縛り付けていると言うことであり、その為、香港や(上位につけた)他の欧米各国と同等の柔軟な発想と打つ手のスピード感を纏うことを不可能にしていると言うことなのです。
果たして日本が(将来的に)どこまでそのポジションを回復できるのかどうかは分かりませんが、旧態然とした古い考え方や対処の仕方が今後も運びるようであるとするならば、日本経済の復興はこの先50年は見ることはないと考えます。