香港進出を行うに当たって有益な情報を取れる先のひとつと言うのは、政府機関である日本貿易振興機構(JETRO)があります。敢えて記述するまでもないことですが、ここで取得することが出来る情報は、企業にとって非常にフラットで、且つ、全体的思考や各セクターに置けるマーケットの最新状況というものを正確に捉えることが出来るものと評価をしても良いことでしょう。
2023年1月、第11回目となるアンケート結果、その名も『香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査』と称した調査レポートがJETROから発表されました。本レポートは下記にあるような多面的な視点から構成されており、活用のやり方によっては多くのものを(当地進出を希望する)企業に齎してくれる筈です。
ではその構成内容と言うのは一体どのような項目を網羅しているのでしょうか?
資料の目次をめくって行くと以下のような論点でレポートは纏められています。
Ⅰ業績動向
Ⅱ香港国家安全維持法の影響
Ⅲ香港のビジネス環境評価
Ⅳ人材流出
Ⅴ新型コロナウィルス政策
Ⅵ本社の香港評価
Ⅶ意見・要望
Ⅰ業績動向
(22年7月〜12月)
全体としてはコロナ禍からの回復を示唆する数字となり、特に情報・通信およびメディア・広告や飲食に関しては「改善」と返答した割合が各々の業界内調査では約4割以上を記録しています。これに「横ばい」を入れると約9割の回答者がYESと返答していることになります。一方で建設・不動産については満点の回答である「改善」が0であり、最高でも「横ばい」と言う返答(66.7%)、また「悪化」と返答した者の数においては全体の3割を占める形となっています。
(23年1月〜6月)
顕著に「改善」を予測している業界は、やはりコロナ禍からの開襟を受けることになって多くの旅行者やビジネスマンなどが当地を訪れるのが明らかである飲食店と小売店に集中し、実に回答者の7割が「改善」を予測しています。一方で「悪化」または「大幅悪化」と回答した企業の属する業界は(意外ではありますが)先の情報・通信およびメディア・広告の業界が目立っています。
改善にせよ悪化にせよそれぞれの理由はかなり偏っており、「改善」については地場マーケットである香港市場における回復(売上上昇)が中心。そして「悪化」は中国市場や海外市場への輸出の低迷、とのこと。
こうしたことを踏まえて今年前半の香港市場の動きというのが作られて行くのがどうやら当地産業界の趨勢のようです。では次回ではそれ以外の項目(Ⅱ〜Ⅶ)について触れて行くことにしましょう。