本ブログでも何度も取り上げているテーマである「タックスヘイブン」ですが、これは要約すると"租税回避"や"低課税率"を意味する単語です。香港はまさにこのタックスヘイブンというものを自地域に採用することで多くの成功を収めてきました。
もともと香港自体が"レッセフェール"という放任主義をベースとしていることもあり、このタックスヘイブンの税率がしっかりと当地の風土にハマったとも言えますが、それでも香港が行ってきた様々な努力というのは制度を実のあるものとした重要な貢献であったと言えるでしょう。
さて、皆さんの一般的なタックスヘイブンという制度についてのイメージというのはどういうものでしょうか?
例えば2010年にあったパンドラ文書、あるいは16年に発覚した世界的なスキャンダル=パナマ文書といった事件の影響で、何だか得体の知れない"悪いイメージ"を持たれた方々はいないでしょうか?
ここでひと言申し上げると、タックスヘイブンというのは決して"そういう(例:悪事を働かせるための疑惑制度)類のものではないということです。むしろ、これを有効活用することで確実な節税効果を企業にもたらすことができるものであるというのが本当のところと言っても良いでしょう。
以下はその構造をご紹介し、その際の活用メリット(と課題点)も併せてご案内していくことにします。
<定義>
タックスヘイブンの定義を改めてご紹介すると以下の通りとなります。
① 納税義務が免除されている国や地域
② 免税義務が著しく軽減されている国や地域
基本的に税制と言うものはそれを採用する国(や地域)が自主的に発案し、決定しているものである為、それを他国(や他の地域)があれこれと介入することは出来ません。例えば香港を一例として考えると、当地の税率(法人税率)は16.5%が基準となっており、海外展開を計る企業からすると香港登記の法人(例:子会社)については香港の税制が優先されるのは至極当たり前のこととなります。
よくあるパターンとしてはこの香港の会社を海外統括拠点と位置付けることで、その下に他国の拠点(例:香港法人の子会社)をぶら下げ、香港統括下の法人達から配当金を吸い上げることで(香港拠点に)富を集中させるようにデザインする等の方法がありますが、これは構造的に"合法"の範疇であると言える内容と言っても良いでしょう。
勿論、香港統括の会社から(例えば)日本の親会社へ配当金を送金すると言うのも最終的にはあり得る話ではありますが、その際も「外国子会社益金不参入制度」と言う救済措置的な制度を利用出来る面もあるので、利用しない理由は有りません。
故に海外進出を行う企業がこの制度を利用することで、グループとして収益を得た際に課せられる多額の税金を回避することが可能となる訳です。
次回はこのタックスヘイブンに関する有名な事件の3つの内容と日本の敷いた対策税制の骨子、また他国で行われている規制のあれこれについてご案内することでこの税制に関する理解をより一層深める為の話をご案内することとします。