『香港国家安全維持法』の導入から早くも3年が経過しました。以前は香港が高度な自治を享受していた時代に比べると、この法律の導入によって多くの変化が生じました。『香港国家安全維持法』は適用範囲が広く、曖昧な表現を含んでいるため、当局の解釈によって様々な事例が起こり得る危険性があります。
例えば、今年3月には日本に留学していた香港人の女子大生がSNS上で香港の独立を扇動するメッセージを投稿したとして、一時帰国時に身柄を拘束され、大学での学業を続けることができなくなるという事件が発生しました。このような例からも、国安法の広範な適用が、香港に入境しようとする個人にも適用され、言論の自由や表現の自由が制約される可能性があることが明らかです。
国安法の適用範囲があいまいであるため、対策を立てることが困難であり、この点に注意を払う必要があります。実際に、香港内でも多くの人々が国安法に関連した摘発や逮捕を受けています。2023年3月までに逮捕者数は250人以上に上り、その中には民主派の元議員や反政府的な論調を展開していた新聞社の創業者、一般市民などが含まれています。
さらにはエンタメ業界でも映画の内容チェックが厳格化され、公開中止となるケースも見られます。香港政府は中央政府と同じスタンスを取ることを宣言しており、国安法の厳格な適用が今後も続くことは間違いありません。
国安法の浸透と共に、市民の間でのコミュニケーションが難しくなる事例も増えてきました。密告の奨励により、自身の発言を控えるなどして相互の信頼が減少しており、社会問題としての側面も顕在化しています。また、富裕層を中心に移住が進むなど、人材面でも課題が浮き彫りになっています。
現在の香港は過渡期にあり、将来の方向性は不透明です。ただし、中央政府が香港社会を分断する意図を持っていないのであれば、次に制定される法律が香港の未来を決定する重要な要素となるでしょう。
結論として、『香港国家安全維持法』が導入されてからの3年間は、香港社会に大きな変化をもたらしました。この法律の厳格な適用が続く限り、個人の自由や表現の幅は制約されるでしょう。将来に向けて、香港がどのような道を進むのかは不透明ですが、中央政府の意図次第で状況が変わる可能性もあります。