既にネットや新聞などでも報道されておりますが、7月12日、香港政府(食品衛生局)は日本政府の方針である処理水(福島第一原発に溜まっているもの)放出決定に対する厳しいカウンター策を発表しました。その概要はと言うと、もしこの処理水が海に放出されるようなことになったとしたら、福島(は言うに及ばず)、その他の都道府県(東京なども含む)10箇所からの水産物の輸入禁止を行うと言う内容のものです。日本政府の松野官房長官はその厳し過ぎる措置に対して「極めて遺憾だ」と言うコメントを残し、今後、双方での本件解決に向けて協議に入って行く展開になる筈ですが、この交渉は日本にとっては極めて難航して行く事が予想されます。
何故ならば、香港や中国を含めた諸外国からすると"放射能汚染がされている"可能性があると考えられる(←日本政府は安全証明を行うことで"(人体への)影響なし"と認識)海産物を自国民に食べさせると言う訳には行かないと言う明白なスタンスがあるからです。勿論、この"ウィークポイント"とも言える点を日本政府も十分認識しているだけに、中々苦しい台所事情が眼前に横たわっていると言っても過言ではありません。
ただ、同時に今回の発表では"違和感"を覚える箇所も存在するのは事実です。処理水を流す地域の海と言うことで考えると、その沿岸に位置する県のものを排除して行くと言う論理は分からなくは無いことですが、一見してそれとは全く関連付けられないようなテリトリーすらどさくさに紛れて(?)今回存在しているのは何故なのでしょうか?
対象となった具体的な「10都道府県」と言うのを見て行くと、先ず①東京を筆頭として、以下②福島、③千葉、④栃木、⑤茨城、⑥群馬、⑦宮城、⑧新潟、⑨長野、そして⑩埼玉、と言った布陣になります。
ところが、ここで"奇異"に見える場所と言うのは①の東京、⑧の新潟、⑨の長野、そして⑩の埼玉です。正直言って、これらの都道府県の生産するものについては福島原発が流す処理水の影響がモロに影響を及ぼすと言うことは考えられず、日本からすると、ここは香港(及び香港に影響を及ぼす中国)に"足下を見られた"対応と受け取る向きがあるのは間違いありません。
我が国のビジネス的な側面=農林水産物の輸出面について主要輸出先国となっているトップ2(中国&香港)がこのような処置を行うと言うのは今後、我が国の当該産業への(余波を含めた)打撃は必至であり、双方の政府間での交渉による調整→何らかの合意を取り付けることは急務となります。但し、根本的に処理水を抱える日本には選択肢は限定されているのは否めず、今後の交渉で達成の余地が見出せるものと言うのは、上述の、「無関係地域」と認識することが出来る可能性のある①、⑧、⑨、⑩への香港側翻意を取り付けることくらいでしょう。何故なら福島関連の処理水に対する香港側のアレルギーと言うのは非常に強固であり、(今直ぐどうこう・・・)と言う段では無いからです。
従って日本側の対応と言うのは今後、香港&中国以外の諸外国に対する影響を以下に最小に抑えるかが焦点となる話が(現実的なもの)となるのが濃厚です。