一般的に言って、香港の構造上の有利点を挙げて行くことはそれほど難しい作業ではありません。しかしながら、貴方がそれを自身の勤める会社で上司などから(纏めて報告しろ)等と言われるような状況になったとしたら、それはそれでやはり面倒なものと評される内容の仕事になるかも知れませんし、(人によっては)どこから始めたら良いのか?と悩まれる方々も居るかも知れません。
そのような観点から、今回は香港の論点を以下の3つのカテゴリーに分けることで、香港の有利点と言うものを効果的に論じる情報を提供することにします。
ではその3つのカテゴリーと言うのはどのようなものでしょうか?今回は(半ば定番的なものとなりますが)①金融システム、②交通インフラ、③経済的自由度、と設定しましたのでご覧ください。
(1)金融システム
香港の金融システムはひと言で表現すると"非常に高度である"と形容出来るものでしょう。当地では(古くから)欧米式金融システムがその根底に流れていることもあり、様々な手法で資金を集めたり、殖やしたりすることが日常的に行われています。また、その為の出先機関として200を超える銀行、また世界規模の証券会社や保険会社が(進出形態などにも注意を払ったえ上で)お金のフローをより良く運用させる構造を作りながらその存在感を世界に示しています。
具体的にこの面での内容をご紹介すると以下の通りとなると言っても良いでしょう。
1 国際的な金融ハブ:
香港は国際的な金融のハブとしてその地位を保っており、世界中の金融機関や企業が集まっているテリトリーです。香港は中国本土とアジア太平洋地域との間の金融取引や投資の架け橋として存在しており、多くの国際的な金融機関が拠点をこの地に置いています。
2 自由な資本流動性:
香港の金融システムは資本の自由な流動性を提供しており、外国からの資本の流入や出国にすら制限を置いていません。こうしたスタンスは中国政府が政治的に圧力を強めて行った時期以降も変わることはなく、それによって国際的な投資家や企業は従来通りに自分達のビジネスを当地で展開することを可能としています。
3 力強い法的なフレーム:
香港は基本的に英国の法制度を踏襲しており、法治主義が確立されているマーケットです。契約の執行や知的財産に関する権利の保護、或いは金融取引の安全性などがこうし高い取引環境を保つ(維持する)香港の法律によりその整合が保たれ、結果、個人や企業は自身の金融資産を安心して運用出来るメリットを享受しています。
4 競争力のある税制:
香港でビジネスを行い、利益を確保すると他のアジアのどの地域よりも手残りの金額を手にすることが出来ます。それはアジアで随一と表現して良いような競争力のある税制を敷いているからです。法人税は僅か16.5%、所得税は最高で17%と言う数値はその「象徴」とも形容できるものであると言っても過言ではありません。更に言うと、実効税率ベースでは(企業の努力次第で)10%すら切ることも可能と言われており、まさにそれは"タックスヘイブン"と評されるに相応しいものであると言えます。
以上、今回は香港の『構造上の有利点』の第一弾として、そのひとつである「金融システム」の骨子・概要についてご案内する形となりました。そして第二弾となる次回につきましては、あらゆる産業の肝である「交通インフラ」に関する内容に迫ることと、また総合的な意味合いとしての「経済的自由度」と言う2点について概要をご案内することにして行きます。