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香港にとって「映画」と言う芸術は、当地の文化的な側面を語る上で"欠かせない要素の一つ"です。


それこそハリウッドなどの最新映画作や日本映画、或いは韓国映画と言った諸外国の作品の封切りなどにはしばしば市場調査上での実験的な役割で世界に先駆け公開されるマーケットでもありますし、それだけではなく当地そのものも古くからアジアの映画の"メッカ"として認識されている世界有数の映画ビジネスの中心地です。


今回のBlogでは、この映画、特に地場の「香港映画」と言うものに焦点を当て、彼等が製作する作品がどのようなコンセプトを基にして製作され、またどのような特色を纏っているのか？と言うことをベースに特集をして見たいと思います。以下に続く概要ではコンセプトを、そしてその後（②になりますが）は様々な映画ジャンルにおいて幾つかの香港作品の名作をご案内することで、その真髄に迫ることにします。


＜概要＞
香港における「映画」と言うのは、その"独特の魅力"と"多様性"によって世界の多くの映画人や映画ファンを魅了する芸術です。故にこの地では、異なる文化や背景を持つ様々な映画人が集まり、各々が想像力と才能を発揮することで域内外の多くの観客に様々な視点や考察の機会を与える体験を提供して参りました。

では具体的にどう言ったことが、香港の映画を当地が輩出する芸術作品の代表足るものとして大きな影響力を纏うに至ったのでしょうか？


先ず最初に挙げる特色と言うのは、香港が作る映画のダイナミズムです。手の込んだ撮影技術やロケーションが作り出す独特の雰囲気が香港映画の特色の一つであり、観客は映画を鑑賞するだけではなく、その視覚的な映像を楽しむことが出来ます。例えを挙げるとするならば、香港の超近代的な都市風景（例：スカイスクレイパー群）や東南アジアの"飲食街"然と言うようなパラドックスが混在する風景であったり、ハイキングコースにすらなるような小高い山々、そして島の裏側に廻れば輝くような海とそのコーストライン...その中で繰り広げられるアクションや恋愛劇等々、観客は瞬く間にその世界感に自己を没入させることができるでしょう。


また映画のストーリーテリングや演出にも特徴あるスタイルを持っている為、香港映画に馴染んだ観客はこの独特のタッチに気がついた時には自然に引き込まれていたりします。


次に挙げることは、香港映画は才能ある俳優や監督が出世をする"登竜門"的な立ち位置を持っていると言う点です。

これは、当地の映画界の競争がハリウッドなどと同様に激しく厳しい為、しっかりと訓練を受けた俳優や監督が数多く輩出されていることに起因します。彼らの創出する演技力や演出力と言うのは、従来の表現だけでなく独自のスタイルを感じさせるものであり、こうした"熱"が観客を魅了します。

当地の映画独自のジャンルとして広く世界から認識される武術（クンフー）映画は迫力あるアクションシーンや洗練された戦闘シーンが特徴であり、その成果としてブルース・リーやジャッキー・チェンと言った大スターを輩出するに至りました。更にこれだけではなく、香港映画は社会派の映画（※）やラブロマンス、また古くは京劇を題材にした映画など、そのバリエーションの広さは（人口が700万人しか居ないマーケットとしては）相当なものがあるとも言えます。

（※）但し最近では中国の意向を反映せざるを得ない内情の為、社会的なメッセージを含む表現を中心とする映画においては一定の制約が発生してしまっているのは残念なことではあります。

何れにしても、これらの多面的な拡がりが根底にあることもあり、香港映画と言うのは国際的にも高い評価を受け、数々の賞を受賞するに至っています。世界各国が行う国際映画祭などのイベントでは、その高い作品性を評価されていることが度々あることを踏まえると、当地が輩出するこれらの映画は異なる文化や国境を超えて、多くの人々に影響を与え、世界中で愛されていると言う何より証拠であると言えるのではないでしょうか？


次回は、こうした香港映画の特色を各ジャンル別に見事に具現化した名作をお伝えすることで具体的な当地の映画芸術の片鱗をご紹介することにします。