1. TOP »
  2. 法人設立お役立ち情報

香港法人・オフショア法人設立お役立ち情報

香港 > 一般

"新しい犯罪"を防御する?香港の「国家安全条例」の位置付け

更新日:2024年02月09日

言うまでもなく、今から遡ること約3年半前に香港に対して制定された法案である「香港国家安全維持法」が当地に与えた"負のショック"と言うものは、香港市民及び当地でビジネス活動を行う者達、また当地に投資をする海外の企業、個人などの間に色濃く残ることになりました。

勿論、香港の法律は今でも英国統治時代から設定されている「基本法」を軸としている点には何ら変わるところはないのですが、それを飲み込む形で新たに制定したのがこの「香港国家安全維持法」と言うものであり、これにより、香港は実質的に中国に対して"落城"、北京の手中に落ちることとなったのです。


現在ではその法令制定・施行から3年半の月日が流れることとなり、ようやく表面的には平静を取り戻しつつあった香港に対して、どうやら再び"大きな試練"が訪れることになるかも知れません。それは1月30日、この法令を更に一歩進めるものとなる「国家安全条例」の制定作業を開始すると香港政府が発表をしたからです。


1月30日、李家超(ジョン・リー)行政長官はこの条例の制定作業を行う背景の説明として、当地には"地政学的な緊張が高まりつつあり、また国家安全上のリスクも厳しい"と言うコメントを添えることで、作業進捗の理由を正当化、更にはその緊急性を強調しました。


この動きを後押しする要因と言うのは、具体的には昨今、当地及び中国で"大きな問題"として捉えられている米中関係の対立のことを指しており、中国側(香港含む)からすると米国を中心とした西側の諜報機関などが中心となって企てている政府転覆工作活動に対する警戒から来ているものです。つまり、同条例の整備を急ぐと言うことは、西側の動きに対する"カウンター策"を構築すると言う側面があるのです。


では先に制定した「香港国家安全維持法」との関係性はどうなっているのでしょうか?具体的な事例を挙げると既に「香港国家安全維持法」が罪とする"国家分裂"や"国家転覆"と言った項目はこの条例では扱われず、(条例案の中では)その「香港国家安全維持法」を"補完する"役回りとなる模様です。

つまり、手続的にはこの新たな条例下で国家安全条例の犯罪で起訴されるようなことになった場合、それは「香港国家安全維持法」を扱う判事によって裁かれ、同様の手続に従って行くと言う流れになると言うことです。


但し、この条例を制定する香港政府の考えと言うのはこの水準だけに止まらず、今後新たな分野&領域を盛り込んで行くことになるのは先ず間違いないことでしょう。例えばそれは「反乱罪」適用を設定することであったり、デジタル空間での金融システムへのハッキング行為、また人工知能(AI)などを起因とするセキュリティーリスクへの対応等々...時流に合わせたルール付けを加えて行くの明白であり、「香港国家安全維持法」で制定した内容をより強化する内容になるのは間違い有りません。


香港に住む人々の心境としては、既にこうした面に関して真っ向から北京に対立し、また突破を試みるような感覚は雲散霧消となってしまった状況ではありますが、それが2020年6月以降の新しい香港の実体であるのは確かであり、後はそれを受け入れるか?、外に目を向けるか?と言う二択しかありません。


勿論、香港の発展が今後一層"中国型"になったことを受け入れるパラダイムが人々の中に根付くことになれば、その風景はまた違って見えることになるかも知れませんが、それは精神的には"踏み絵"に近い感情が喚起されるものなのかも知れません。

▲ページのTOPへ

スマホサイトを表示