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"制度"を飲み込む"制度"?「最適解」をどのように香港と中国は出して行くつもりなのか?

更新日:2024年04月17日

今日の香港と中国の産業を"軸"の部分から支え、また定義している制度と言うのは『CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定)』と『一帯一路』であると言えます。

この二つの大きなプロジェクトは後者が余りにも壮大なものであるがゆえ、前者がその影に隠れてしまったかのような印象を与えてしまいがちになりますが、しかしながら、その実は役割の違いがキッチリと"与えられている"と言っても良いものです。


以下、概要ではありますがその根底に流れているポリシーの違いと関係性、またこの二つが並列することに関する問題点についてまとめて見ました。


<定義>
●一帯一路:中華人民共和国が推進する国家プロジェクトの一つであり、国際的な経済網及びインフラ構築を骨子にし、これらによって中国が在するアジアを起点としてアフリカ、ヨーロッパなどの地域を繋いで行く為の取り組みです。

●CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定):中国と香港特別行政区(SAR)の間の経済連携の枠組みであり、市場へのアクセスや貿易の促進などを目的とします。


<関係性>
●香港は中国の推進する『一帯一路』の"中継地"としての役割を与えられており、地理的位置と国際金融センターとしての地位を活かすよう命じられています。その中で『CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定)』は香港が『一帯一路』に於ける中国との経済的結びつきをより一層深める為の"枠組み"として機能しており、これは香港企業(=香港にて登記をしている法人)の国際展開を支援するだけでなく、同時に『一帯一路』がカバーするテリトリー内での貿易や投資を促進させます。

●両制度とも中国を軸として他の地域や国との経済的結びつきを深耕させることを目的としているのでこれらの面では効果を発揮できるメリットがある反面、こうした流れが両制度の定義や区分けをあやふやにしてしまっているデメリットもあります。しかしながら、もう一歩深く入り込むと、『一帯一路』が特定されている複数の国々と中国との貿易促進とインフラ整備をテーマとしているのに対し、CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定)は香港を軸として中国本土との間の貿易促進を中心としているところに違いがあります。


<問題点>
●法律や規制の適合性:この二つの枠組みは上述の通り、異なる面を備える形になっていますが、例えば香港企業が『一帯一路』に参加する際にはそれぞれの国々における法的及び規制上の要件に合致させて行く点が存在する為、その面での負担やリスクは増大すると言えます。

●『一帯一路』と『CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定)』は、場合によっては、お互いが"競合関係"に陥る可能性があるのは事実です。それは各々が貿易推進を行なっている為、仮に中国内中国企業と香港企業が同業であるような場合は競争が一層激化することは避けられません。


<未来について>
今後も両制度が並列して共存と言う形が最も自然であるのは変わりませんし、その可能性は最も高いと言えますが、もっとワイルドな想定を施した場合は景観が異なる可能性を含んでいます。これはズバリ、『CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定)』をどのように中国が呑み込んで行くのか?と言う点です。

実際のところ、『CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定)』は、香港と中国間に限定された一地域的な局面があり、故に将来的には『一帯一路』の中の"特別枠"として『CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定)』導入企業に対する優遇措置を時限立法的な立ち位置で暫くは活かし、しかしながら、将来的には『一帯一路』で使用されている通常ルールをそれらの企業にも適用させて行くと言うものです。

勿論、これはあくまで仮定の世界なのであって確証があるものでは一切ありませんが、どうなって行くのかは"神のみぞ知る"と言うのが現時点での結論となるでしょう。ただ、やはり経済効率性を鑑みた場合には、この想定は現実味を帯びて来るのは避けられない選択肢であると言えます。

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