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イギリスと香港、長きに渡る"親"と"子"の関係を離れて

更新日:2024年06月25日

香港はアジアの金融ハブとして、歴史的、政治的、経済的に独特な位置を占めており、その背景にはイギリスとの150年以上にわたる関係が重要な位置を占めています。この関係は、子と親にも例えられても良いと言え、両地域のアイデンティティーや未来に大きな影響を与え続けて来ました。"親"であるイギリスから見た香港と言うのは、植民地支配時代に残した良質の遺産であり、また驚愕とも形容出来る経済的な成功、そして現代における自治と民主主義闘争の『象徴』と言っても良いことでしょう。


歴史を遡るとイギリスの香港への関与と言うのは19世紀半ば、ヨーロッパの植民地帝国の拡大とアヘン戦争の時期に始まりました。1842年に締結された南京条約により、香港島がイギリスに割譲され、それ以後150年以上続くイギリス統治の始まりとなった訳ですが、これを皮切りとして、1860年には九龍半島、そして1898年には新界が"99年間の期限付き"で貸与されることになります。


この統治の下で、香港は甚大な変化と成長を手にすることになります。それこそ面積や人口だけで見ると一見"どこにでもあるような小さな漁村"と言ったステイタスであったところを、イギリスは世界でも有数の貿易港、そして国際金融センターのひとつへと香港を変貌させるまで導きました。また、それらの結果を作るだけでなく、当地の法制度、教育機関、インフラと言った様々な面を整備&強化することで、当地の経済繁栄の基盤を築くことに貢献しました。こうした質実剛健な政策があったからこそ、香港は東西文化の融合の地となり、世界中から移民、ビジネス、投資を引き寄せることとなったのです。


このように大きな成功を享受することになった香港ではありますが、中でも特筆すべき点と言うのは、世界でも類を見ないほどの驚異的な経済の成功です。この成功は、当地の戦略的な立地、自由放任経済政策、高度な労働力等々...様々な要因から構成されていますが、最重要とも形容出来るポイントと言うのは、それらを統制する上で必要だったガバナンスであり、具体的には経済活動に関する政府の干渉(規制)と言うのを最小限に抑えたと言う点に集約されています。これに加えて世界でも"ダントツ"と言える水準の低税率制を導入したこともあり、企業にとって香港のビジネス環境と言うのはまさに成長に拍車を掛ける"特効薬"のようなテリトリーとなって行きます。更にこうした事を一層後押しするものとして銀行業、保険業、海運業と言った主要な産業セクターに注入された巨大な投資額と(各産業で培って来た)専門知識があったことも記述して置く必要があるでしょう。


では、香港の最近の歴史における最も重要な出来事とは一体何でしょうか?


幾つかの分岐点があり、また各々によって違う見方があるのを承知で選ぶことになりますが、それはやはり1997年の中国への返還が最適と言っても良いことでしょう。この出来事は、イギリスと中国の長期にわたる交渉の結果として成立した1984年の中英共同宣言が結実した形になったものであり、この合意に寄って香港は中国内に於ける特別行政区(SAR=Special Administrative Region)となり、「一国二制度」の原則のもとで50年間その資本主義体制と生活様式を維持することが定められました。イギリスの視点から見れば、返還は主権の権利の放棄することではありましたが、新しい体制の試金石的な意味合いを含む両方ではありました。しかしながら昨今ではこの「一国二制度」ついて、中国の圧力による懸念が増加して来ています。


その顕著たる事例と言うのは2020年に施行された「香港国家安全維持法」であり、この法律は中国に(自治権を有する香港に対して)広範な権限を与えることを是認するだけでなく同時に法律施行に異議する反対派(民主活動家など)を抑えるためのものとして存在する為、イギリスにおいても大きな批判の的として世論を賑わすことになっています。

その為、これに対抗するものとしてイギリスが具体的な措置を講じたのは英国海外市民(BNO)ビザの導入であり、これにより、BNOステータスを持つ香港市民はイギリスでの居住と労働が可能になることになりました。勿論その先にはイギリス市民権の獲得と言うものも、レールの終着駅には定められています。こうしたウルトラC的な政策の立案と実施は、かつての"親"であったイギリスの、香港(及び香港市民)に対する継続的なコミットメントの表れと捉えられており、また同国が国際社会の代表として元宗主国の責任を全うする姿勢であるとも捉えられています。


その姿はやはり、親と子の関係に通じるとも言えなくもなく、ひいてはイギリス側から見た香港と言う"子供"に対する愛情表現=関係性の表れと形容出来るものなのかも知れません。

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