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周辺諸国の状況が転じることで「資産」が再び集まって来る事になった香港

更新日:2024年07月17日

少し意外に聞こえるかもしれませんが、しばらく逆行が続いていた香港経済は現在"再び"裕福な中国人を自分の市場に取り戻すことで回復の途上にあると言えます。こうした香港復活の要因(市場で認識されている主要な根拠)は二つあり、その内のひとつが、長年のライバル国のひとつであったシンガポールの"失速"でした。

2023年8月、当地で発生してしまった巨額のマネロン事件の影響と言うのは殊の外甚大であったと言え、結果として当国の金融取引の管理体制見直しをせざるを得ない程の大きなインパクトを被ることになりました。これにより以後、当地では従来のチェック手法の刷新を行う事が議論され、結果、海外資金の流入経緯に於けるプロセスについて徹底的に精査&強化される顛末となってしまいました。

他方、(偶然にも)同時期に香港側では中国人富裕層のニーズに対する受け皿的厚遇策の立案と導入が起こっていたこともあり、結果として当地はシンガポールからの移動する富裕層とその資産と言う"漁夫の利"を労せずして得ることになります。

事実、欧米系の調査会社と移住コンサルティングファームが公表したデータによると、これまでの様々な負の理由によって過去5年間近くにわたり富裕層の"流出"が続いていた香港ではありましたが、今年は一転、約200人の新しい富裕層を迎える見込みへと変化した模様です。

これは、当地がファミリーオフィスへの税金軽減措置やビザ(査証)、移住プログラムなどの充実を通してマーケットにアピールして来た事が結果に現れたと言うのが通説ではありますが、実はそうなる為には以下に述べる様々な他の要因が裏に隠され、且つ、積み上がって来ていたと言うのも考察に取り入れる必要があるかも知れません。

●シンガポールの"失態"の理由となった事件について
シンガポールはここ数年、香港から流出していた資産や富裕層の"余波"を取り入れることで国際マーケットとして更に躍進して来ていた訳ですが、ここに来てスキャンダラスなマネーロンダリング事件を引き起こしてしまいました。

その被害総額は30億シンガポールドル(約3,580億円)規模のものであり、これを契機として同国政府は在シンガポールのファミリーオフィスや同国に移住して来ている富裕層の資金運用についての本格的な調査と精査、強い締め付けを開始したとのことです。これによって(それを嫌がった)富裕層の一部が反発、結果として資金還流となる香港への回帰を行い始めており、これが香港への資金流入の活性化に寄与する要因となっています。

●中国の経済成長の鈍化と国内における人々の意識と行動の変化について
現在、中国では同国から脱出を試みる国民が増加していると言われています。

今回のそれがい異質なのは、これが一部の富裕層だけに止まらない動きであり、影響は一般庶民にまでも及んでいると言うものであることです。事実、中国政府は現在その対策に苦慮していると伝えられています。

これを裏付ける要素として挙げさせて頂くと、中国に入った移民の数から離れて行った人数を引いた「純移民」の数は年々、増加しているとのことです(世界銀行データ参照)。

例えば2012年が約12万人と言う数字が同国を離れた数であったものが、2017年にはそれが約18万人、更に昨年の2023年は約31万人へと増加したと言った具合です。

それらが一種のトレンドと化す背景の理由と言うのは、結局のところ、国内の景気と体制と言えるかも知れません。例えば国内の不動産業界でのバブルが崩壊してしまったことによる余波として民間デベロッパーや政府傘下の「融資平台」のデフォルトリスクは非常に高まっており、これに反応する形で今や住宅価格の下落が止められておりません。また、生産能力が過剰であるにも関わらず、それが見えぬ政府は更なる拡充を施策していることで、自らが"産業の空洞化"を促進すると言う図式にすらなっています。


また、そしてこうした事にトドメを刺すのが共産党による監視体制です。既に香港がその対象として血祭りに挙げられた例を見るまでもなく、反スパイ法に基づくこの国家の監視体制の強化と言うのは最早世界最強水準のものへと進化しており、これに辟易する国民が自分達の資産や自分達自身を他国(他地域)に移住させるオプションと言うものを真剣に模索して行く理由を与えてしまいました。

こうした諸々の事象もあり、現在の香港を含む中華圏の運営状況と言うのは混迷と言う状況が煽られている流れとして推移していると言えます。我々のような立ち位置の者達にとって重要なことと言うのは、仮に香港へ何らかの理由で渡航する必要が発生した際は、決してこれら上述の内容を軽視せず、最大限留意しながら計画を立てるの必要があるのは明らかであると言えます。

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