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国際的な「知的経済ハブ」として新たなスタートを切った香港

更新日:2024年07月29日

香港の「パテントボックス」制度は、今後、この地域にとって新たな"顔"となる可能性を秘めた試みです。もともと香港は「国際金融」や「貿易」、あるいは「観光」や「食」の舞台として、その存在感を世界中にアピールしてきました。しかし、AIなどに代表される"新たな産業"がグローバルな環境で既存の産業形態を根本から変えようとしている今、この「パテントボックス」のような制度が将来的に当地にさらなる強みを与え、今いるステージからの飛躍的なアップグレードを実現するきっかけのひとつとなるかもしれません。

こうした視点から、以下では今回の制度導入の経緯をいくつかの論点に分けて、香港政府が打ち出したこの制度の意図を検証していきます。

■背景と目的
香港は知識経済の発展を促進し、企業のイノベーション活動を奨励するために「パテントボックス」制度を導入しました。この制度は、特許から得られる収益に対して非常に低い税率を適用することで、企業が研究開発(R&D)に関する投資を促進するインセンティブを提供し、その意欲を高めることを目的としています。

以下はその概要に関するガイドラインですので、ぜひご一読ください。

■具体的内容
1.適用対象:
「パテントボックス」制度は、香港で取得された特許や香港政府が認定する特許から得られる収益に対して適用されます。これには、特許技術を使用して製造された製品の販売収益や特許技術のライセンス収入も含まれます。

主な特徴としては以下の5項目が該当します:

(1)対象IP(Intellectual Property=知的所有権):
特許、ソフトウェア著作権、植物新品種権

(2)香港以外で登録されたIPも対象:
香港で発生した関連利益についても享受できる可能性あり

(3)優遇税率:
5%(通常の適用税率は16.5%)

(4)大前提:
対象となるIPは納税者自身が開発したものであること。R&Dの過程で他のIPの取得やR&D活動の一部をアウトソーシングする場合、優遇税率の対象となる利益額はその比率に応じて減少する可能性あり

(5)現地登録の必要性:
同措置を享受するためには、企業は発明または新品種の現地登録を取得する必要があり、この要件は施行後2年経過してから実施される

2.税率
通常の法人税率に比べて、「パテントボックス」制度の適用を受ける収益には低い税率が適用されます。

3.要件
企業は低税率適用を受けるために、特許収益に関する詳細な記録を保持し、税務当局に対して研究開発活動の内容を証明することが求められます。また、この優遇税率を受けるためには申請者が特許技術の実質的な所有者であり、収益の源泉が香港内の活動に基づいていることが前提となります。


■制度への影響

・企業への影響
企業は「パテントボックス」制度を利用することで、特許から得られる収益に対する税負担を軽減し、研究開発活動への投資を増加させることができます。これにより、企業のイノベーション能力が向上し、競争力が強化されます。

・経済への影響
「パテントボックス」制度の導入により、香港は国際的な"知識経済ハブ"としての地位を強化し、外資系企業の進出やスタートアップ企業の誘致を促進します。これにより、高付加価値の産業が当地の経済全体の競争力を底上げすることに寄与します。


■結論
香港の「パテントボックス」制度は、特許から得られる収益に対して低い税率を適用することで、企業の研究開発活動を促進し、知識経済の発展を後押しする重要な措置となります。この制度を活用することで、香港は新たな産業の拠点として、さらなる成長と発展を遂げるでしょう。

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