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「税制改正」から見る香港の準備の概要とは?(1)

更新日:2024年08月02日

香港の税制と言うものは、ひと言で表現すると(日本などのような複雑さを追い求めた税制とは対極の位置とも言えるほど)"シンプル"と言う言葉に集約されています。しかしながら、新しい産業がAIなどを中心として構築されつつある昨今に於いて、国際税務的な視点からも修正・追加を行う必要が法人&個人の両面から出て参りました。

今回はそんな最近の香港における税制の変更点や今後導入が有力視されている税制が一体どのようなものであるのかをポイントを絞り解説して行くことにします。


●法人税の変更点

1.利益税の減税
2023/24年度の利益税が100%減税され、1件あたり3,000香港ドルの上限が設けられています。
また工業用及び商業用建物の控除請求期限の撤廃、賃貸物件の原状回復に掛かった費用の税控除も盛り込まれています。これによって域内の約16万の企業がその恩恵を授かることが出来るだろうと市場では捉えられています。

2.移転価額税制の強化
以前のものは具体的な文章化や罰則規定に緩やかであった同税制でしたが、近年(2018年)、マスターファイルやローカルファイル作成が義務付けられ、罰則規定についても追加税や罰金が課されるだけでなく、更にはグループ企業間取引の価格が適正なものであるかどうかを判断する指標となるベンチマーク分析も必要となった為、同税制に対する企業側の準備と言うのは非常に厳格化されることになりました。

3.パテントボックス制度の導入
これは前回のブログでも特集させていただきましたがこのパテントボックス制度は2023/24年度の予算案で発表され、2024年7月5日に法案が成立しました。これは対象となる知的財産から得られる香港内の課税所得に対して通常の法人税率16.5%に対して大幅に縮小された5%の税率が適用されるというものです。


またこうしたことだけでなく、今現在では議会で以下に挙げるような項目もディスカッションされており、近い将来、何らかの形でそれらが現在の税制に盛り込まれる可能性が高くなっています。


①    デジタルサービス税の導入
基本的な枠組みとしては、香港外のデジタルサービス提供者が域内で提供するサービスに対して3%の税率が適用されることが有力視されています。事実として今年の2月、香港に於ける有力な経済団体である香港商業会議所(HKGCC)は2024/25の政府予算案への導入を提言しており(結果は"見送り")今後もDX関連に関する産業は劇的な発展が予見されることを考えると最終的には市場導入は「時間の問題」と捉えられていると言って良いでしょう。

②    環境税の導入
炭素排出量の多い企業に対して、トン当たりのCO2排出量に基づく課税が導入されると言う内容の話が現在も検討されています。実際、今現在(2024/25年度)はまだこの税制の導入は発表されていないものとは言え、グリーン・サステイナブル金融の推進などに象徴されるファイナンシャル助成スキームの補助範囲拡大やESGの開示要件の強化と言う側面でも本件に関する意識は徐々に醸成されつつあり、今後の展開が期待されています。


以上、今回は法人税周りに関する内容をご説明させて頂きました.次回は個人所得に関する変更点についてご案内して行くことにします.

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