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改めて香港の産業を"縦割り"して考えて見る

更新日:2024年08月16日

香港の経済は、もともと限られた土地面積と資源に依存出来ない構造を持つため、特定の産業に大きく偏った傾向を示しています。従ってそう言う意味に於いては、当地は与えられた環境下で、最大限の効果を発揮することを求められ、またそれらの多くを実現して行くことで大きな果実を得て行くことが出来ました。今回のBlogではこうした当地の主要な産業区分について簡潔に論じ、その経済的重要性と課題について考察して行くことにします。


1 金融業
香港はアジアにおける主要な金融センターの1つであり、金融業は香港経済の中枢を形成しています。香港証券取引所は、世界でも有数の取引量を誇り、多くの国際的な企業はここに上場しています。また、香港は中国本土とのゲートウェイとしての役割を担っており、「一国二制度」のもとで確立された独自の法制度と規制環境が、外国企業にとってのある種の"信頼性"を提供しています。こうしたことによって、香港はグローバルな金融サービスのハブとして発展して参りました。香港の金融業には銀行、証券、保険、ファンドマネジメントなどが含まれており、これらの業種が当地経済に大きな雇用機会を提供し、政府の税収源ともなっています。特にこの10年程は中国本土の企業が資金調達を行うためのプラットフォームとしての役割が増加しており、香港ドルと人民元の取引のハブとしての重要な役割を果たしています。

しかし、近年は中国本土との経済統合の進展や国際的な金融規制の強化により、金融業はさらなる適応を迫られているのが実状と言えるでしょう。


2 貿易・物流
貿易業と物流業もまた、香港経済を支える重要な柱と言えます。香港は中国本土と国際市場を結ぶ中継貿易の中心地として機能しており、自由貿易港としての地位は、税制の優遇や高効率な港湾インフラによって支えられています。これにより香港は輸出入における重要な役割を果たし、特に再輸出(輸入品を他国へ輸出する形態)がその一例です。しかしながら、近年は中国本土の港湾都市(例えば深圳や上海)の台頭により、香港の中継貿易としての役割が相対的に縮小しています。これに対応して香港は高付加価値の物流サービスやスマートロジスティクスの開発に注力しており、新たな競争力の確立を目指しています。


3 観光業
観光業は香港の経済における重要な収入源のひとつであり、この業界は多くの雇用を生み出しています。事実として長い間、香港の魅力的なショッピングや文化遺産、テーマパーク等への観光が海外からの観光客を惹きつけて来ました。しかしながら、近年の政治的緊張やパンデミックの影響により、観光業は大きなダメージを受けました。これにより近年、観光業の多様化と持続可能な観光開発の需要&必要性が高まっています。例えばエコツーリズムや文化観光の促進が今後の成長戦略として挙げられるでしょう。


4 不動産・建設業
不動産業と建設業もまた香港経済の主要産業と考えられています。限られたとスペースと高い人口密度が不動産価格の高騰を招き、この業界は非常に収益性が高いものとなっています。その為、多くの投資家が香港の不動産株市場に関心を見せており、特に高級住宅や商業用不動産は引くて数多の案件として注目されています。しかし同時にこの分野は不動産バブルのリスクを抱えており、住宅の高騰が社会的不平等を加速させているとも言えます。故に政府は公共住宅の供給拡大と都市再開発の推進を図ることで、この問題に対処しようとしていますが、問題は恒常的になってしまっている面があるのは否めません。


5 専門サービス・創造産業
法律、会計、コンサルティングなどの専門サービスや、広告、映画、デザインといった創造産業も、香港経済において重要な役割を果たしています。これらの産業は、香港の国際的ビジネス環境を支え、文化的な発展にも深く寄与していると言えます。特に、クリエイティブ産業は若者にとって新たな就業機会を提供し、香港の文化的アイデンティティーを世界に発信する手段となっており、政府のこの分野の成長をインキュベーションプログラムや資金援助を通じて支援しています。


以上、香港の主要5大産業は、金融業、貿易・物流、観光業、不動産・建設業、専門サービス・創造産業といった多様な産業区分によって構成されています。そして、それぞれの産業が相互に依存し合いながら、当地をアジア随一の経済ハブとして支えていることが上述の案内により理解出来たのではないかと思います。しかしながら、グローバルな経済環境の変化とそのスピード、また地域内外の競争の激化に伴い、各産業でも今まで以上の"変革"を求められているのは確かなことであり、香港はこれからも競争力を維持するために経済の多様化と持続可能な成長戦略を追求していく必要があると言えるでしょう。

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