2024年のアメリカ大統領選挙はトランプ前大統領が民主党候補のハリス副大統領を圧倒する形で勝利を挙げることになりました。政権交代後はトランプ(新)大統領の指揮の下、米国国内の景気対策を筆頭として国際情勢にも大きな変革が訪れることになりますが、その影響は香港にも大きく波及する可能性を含むものになります。
何故なら前任期の時の彼の政策の多くは、中国への"厳しい姿勢"が特徴であり、その影響は香港の政治、経済、そして市民生活にまで及ぶ結果となっていたからです。今回は、再選を果たしたトランプ(新)大統領が香港にどのような影響及ぼすかを考察します。
1.対中政策の強硬化と香港への影響
前トランプ政権は、特に中国との貿易戦争や技術分野での覇権争いを強調してきました。そして今や再選を果たすことになった彼は対中関係を更に厳しい姿勢を取るのではないか?と言う可能性が早くも囁かれています。米国の対中制裁が(香港を含む)多くの企業や金融機関に適用されれば、香港の経済に多大な影響が及ぶことになるのは免がれません。
例えば、米国が中国本土や香港に拠点を置く企業を対象に制裁を強化するとした場合、香港の『国際金融センター』としての地位が揺らぐ可能性が出て参ります。特に、香港は中国本土と外国の資本や技術の"橋渡し役"を担っている為、米中関係は香港の経済的安定を直撃する要因となります。
2.香港市民の政治的自由と人権問題
トランプ(新)大統領は前回の政権時代、香港市民の人権と民主化運動に対しても積極的に発言し、特定の制裁措置を導入しました。従って、彼は再び香港の政治的自由と人権問題に焦点を当てる可能性は十分にあると言えます。
具体的に言えば、香港に対する国際的な支援を米国が西側諸国の音頭を取る形で強化するだけでなく、米国独自の制裁措置を施して香港政府や中国本土に圧力を与えようとする事などです。このような政策は、香港市民にとって政治的自由を維持するための支援となる一方、香港と中国の政府レベルにおいては大きな緊張を高めるリスクも伴います。
3.経済的なリスクと金融市場への影響
今回のトランプ前大統領の再選は、香港の金融市場の影響を与える可能性があります。特に、米国の対中関税政策や技術規制の強化により、中国企業が米国市場から締め出されるとなると、その代わりに香港が"受け皿"として役割及び機能を担うことになる可能性が出て来ます。
しかしながら同時に(米国からの)圧力が香港に波及することによって香港の金融市場は動揺し何らかの負のインパクトを被る可能性が出るのは否めないものとなります。これは可能性としては(限りなく)小さいものになるとは言え、トランプ新政権が米ドルと香港ドルの結びつきを断ち切るような措置を取るような事があれば、香港の経済は未曾有の打撃を被る事になると言えます。
4.地政学的な緊張と香港の立場
トランプ新政権の対中政策が強化されることにより、香港は米中間の地政学的な対立の前線に立つことになるのは避けられない事態になります。現在までの香港は(名目上になる部分はあるとは言え)「一国二制度」の下で高度な自治を享受しているとされていますが、トランプ新政権からの対中圧力が増大する事により、中国政府は香港対する統制をより一層強化する可能性は多大に有ります。
そうした面を現実的なオプションと考えると、政治的な自由と言うものが更に制限されるポテンシャルは否定出来ないものなのかも知れません。
以上、トランプ前大統領が再選を果たした先般の選挙により、香港には経済的、政治的、地政学的な影響が多方面に及ぶことが現実視されています。場合に寄っては香港はアジアの国際金融ハブとしての立場を失う可能性すら示唆される分析もあるが故、今後の進展に関してはより多くの検証をして行く事が必要となるのは火の目をみるより明らかであると言える事でしょう。