香港は、近代的な高層ビルが林立する都市でありながら、歴史と文化が色濃く残る魅力的な観光地です。ビクトリア・ピークやスターフェリーと言った"定番スポット"だけでなく、新旧のトレンドが融合する香港には、まだ一般的にあまり知られていない魅力的な場所が数多く存在します。本稿では、観光地としての香港の新たな魅力を掘り下げ、隠れたスポットや最新の観光トレンドについてご紹介して行きます。
●香港の観光地の多様性
香港は「東洋の真珠」とも呼ばれ、その多様な文化や風景が観光客を引き付けます。近代的なショッピングモールや高級ホテルが集まる九龍や香港島の都市エリアと、緑豊かな山々や静かな漁村が残る新界や離島エリアがこの小さなテリトリーには同居しており、こうした「都市」と「自然」の共存こそ、香港観光の最大の魅力=特徴と言っても過言ではありません。
香港は多文化が交差する地としての歴史的背景を元々持っています。それこそ英国植民地時代の影響受けた建造物などや文化、そして中国の広東省からの文化等との融合が、当地を訪れる観光客にとってその観光体験をより豊かなものにすると言う面で貢献しています。
●隠れた観光スポット
最近当地を訪れる観光客の傾向と言うのは、定番の観光地だけの訪問では飽きたらず、隠れた観光スポットにも関心が寄せられつつあります。以下に挙げる場所は、そのような「傾向」をより一層、際立たせるものになるかも知れません。
1.タイオー漁村:
タイオー漁村は、香港島や九龍の喧騒から離れた静かな漁村です。高床式の家々や伝統的な漁法が見られるこの場所では、地元の文化や生活を体験できます。また、こうしたことに加えてボートツアーでイルカを観察することも可能です。
2.坪洲島:
坪洲島は、ゆったりとした時間が流れる離島であり、車の交通が制限されています。ここには古い建築物やアートギャラリー、地元のカフェ等が点在しており、日帰り旅行などに最適な観光スポットのひとつと言えるでしょう。
3.チェンホンエステート:
鮮やかな色彩が特徴的なこの公共住宅団地は、InstagramなどのSNSで注目を集めています。観光客にとっては写真撮影のスポットとして知られるようになっており、こうしたアーティステイックな面からも特に若者の間で人気が高まっています。
4.黄大仙(ウォンタイシン)寺院:
香港の伝統文化に触れる場所として黄大仙寺院は欠かせません。特に占いや祈願の体験ができることから、地元住民や観光客が頻繁に訪れています。
5.PMQ (元創方):
かつての警察官宿舎をリノベーションしたPMQは、現在ではクリエイティブなショップやギャラリーが集まるスポットとして人気となっています。地元デザイナーによる商品やアート作品を楽しめ、若い世代の観光客に支持されています。
●最新の観光トレンド
香港では、近年、サステイナブルツーリズム(持続可能な観光)が注目されています。エコツアーや自然保護区への訪問、またローカルな食材を活用したレストラン等が増加しており、環境への配慮が観光業界にも広がっています。一例を挙げると、香港湿地公園では希少な植物を保護しながら観光客に自然の美しさを紹介する取り組み等が行われたりしています。
さらに、観光体験のデジタル化が観光そのものを一変させ始めている点も見逃せないトレンドと言えます。
例えばAR(拡張現実)技術を活用した歴史観光ツアーや、キャッシュレス決済を導入した市場が増加しており、観光客にとってその利便性が向上しています。特に、若い世代やテクノロジーに敏感な旅行者にとってこうした取り組みは魅力的なものとして捉えられています。
●課題と可能性
一方で、香港の観光業にはいくつかの課題も存在します。2020年以降、新型コロナウィルスの影響で観光客が激減し、多くの観光関連ビジネスが苦境に立たされました。従って、今現在の国際観光が回復している過程の中で、再びどのようにして観光客を惹きつけるかが常に問われ、また議論されています。また、中国本土からの観光客依存が高まる一方で、他の諸外国からの観光客をもっと取り込む努力も必要であることを業界は認識しており、その手法の有効性が問われているのも事実です。
以上、香港はその多様性の中に新旧のトレンドを織り交ぜて行くことによって、観光地としての地位を確立して参りました。勿論、こうした試みには終わりはなく、今後も観光産業の回復とともに新しい体験を提供し、持続可能な観光の発展を推進することが命題とされています。
では、"次の一手は何にするのか?"と言う点を軸として、香港の観光に期待して行きましょう。